Story
世界初の発見から、新たな挑戦を始めた研究員たち。
製薬会社ならではの発想を活かして、
どのように新たな発見へとつなげたのか?
研究員にインタビューしました。
セルフメディケーション
開発
薬理研究室
田中 碧
製剤第3研究室
塚原 蘭子
田中: 世界初の発見から「マイトリガーゼを増やし、ミトコンドリアや細胞を健やかに保てれば、ハリや透明感に満ちた若々しい肌が続くことが期待できる」という新たな希望が見えてきました。
そこで私たちは、マイトリガーゼを増やす成分の探索に取り組みました。
しかしながら、その道のりはまったくの手探りでした。
まずは、1000種類以上ある成分のライブラリーの中から、効果がありそうな成分200種以上をピックアップ。
その中から100種類以上の素材を、試験管で培養したヒトの肌の細胞に与え、一つ一つ丁寧に実験して評価していきました。
そのようにして大正製薬が独自で発見した成分が、「モモ」「ハマメリスの葉」「ボタンの根」という組み合わせでした。
田中: その3種の成分というのは、単独の作用だけで選んだものではなく、成分同士のより効果的な組み合わせをとことん検証して選んだものでした。
組み合わせの候補は数多くあったのですが、「モモ」「ハマメリスの葉」「ボタンの根」は、それぞれ単独でマイトリガーゼを増やすだけでなく、組み合わせると “肌表面を美しくする力” や “肌のバリアを保つ力” もアップする、という可能性を発見したのです。この組み合わせにたどり着けたのは、とても幸運なことだったと思います。
塚原: おっしゃる通りです。
膨大な研究データから見出した、「モモ」「ハマメリスの葉」「ボタンの根」。
その効果をしっかりと発揮させるためには、成分を届けたい場所まで届くように設計することがとても重要だと考えました。
もともと製薬会社には「ドラッグデリバリーシステム」という考え方が根付いているんですね。それは、体の仕組みに合わせて薬の効果を発揮させる技術のことで、たとえば、体の特定の場所にだけ成分を届ける技術や、必要な時間だけ成分の効果を持続させる技術などがあります。
今回は、肌の細胞まで成分を届ける可能性を秘めた「ナノカプセル技術」に着目しました。
関連記事:研究情報「届ける技術、ナノカプセル」
塚原: 「ナノカプセル技術」は、もともと医療分野の技術です。直径数10nm※(ナノメートル)〜数100nmの微小なカプセルに成分を閉じ込め、体内の治療が必要な箇所まで届ける技術で、私たちは
約20年前からこの「ナノカプセル技術」の研究に取り組んでいます。
今回はその技術を応用して、「モモ」「ハマメリスの葉」「ボタンの根」を肌の細胞に届けるための浸透技術を独自で開発しました。
直径100nmほどの目では見ることができないナノカプセルは、毛穴の約1000分の1以下の大きさです。このナノカプセルに内包した成分が、肌の細胞まで浸透することを実証しています。
※nm=ナノメートルは、1メートルの10億分の1の長さ
※肌表面に残った成分を除去し、浸透した成分を評価
塚原: 若返りの鍵「マイトリガーゼ」を増やす成分、そして肌の細胞まで浸透させる技術を組み合わせ応用することで、効果を発揮することが出来ると考えています。
私たちは肌老化の根源を見つめ続け、新たな挑戦をし続けていきたいと思います。
セルフメディケーション開発薬理研究室 田中 碧
大学でiPS細胞などの再生医療を研究した後、大正製薬に入社。入社以来、肌の基礎研究に携わり、肌老化とミトコンドリアの関連性やシミやくすみの メカニズムに関する研究に従事。柔軟な発想を活かし、新たなアイディアを 肌研究に取り入れることで、数々の新発見を生み出している。
製剤第3研究室 塚原 蘭子
処方開発のスペシャリスト。2002年より大手化粧品会社で化粧品開発に携わり、多くの処方開発を経験、その知識を活かしリポソームなど生体親和性に優れた製剤技術を次々に開発。皮膚科学に基づいた製剤設計をモットーに、生活者に寄り添う機能性化粧品を開発している。