Story
肌の未知なる領域に挑み、大学との共同研究により、
細胞内に存在する酵素「マイトリガーゼ」の肌での役割を
世界で初めて解明した大正製薬。
そこから肌老化をコントロールする可能性を見出した過程について、
研究員にインタビューしました。
セルフメディケーション
開発薬理研究室
井野口 友紀
井野口: 肌の老化といえば、シワ・シミ・くすみ・たるみなど、いろいろな悩みがありますよね。それらが現れてから一つ一つ対処するのではなく、もっと前の段階=老化の原因や根源にアプローチできないか?そうすればいろいろな肌老化の悩みが一気に解決できるはず!と考えたのがきっかけです。
老化は細胞レベルから始まるので、細胞の中でも重要なミトコンドリアについて徹底的に調べることからスタートしました。やがて研究を進めるうちに、肌のミトコンドリアにあるマイトリガーゼという因子が、加齢によって半分以下に減ってしまうことを突き止めたのです。
マイトリガーゼは、細胞の中でエネルギーを生み出すミトコンドリアが正しく働くために大切な酵素でした。
ここに老化の原因があるのでは?そして老化に対処するための鍵もあるのでは?と考え、私たちはさらなる研究を進めました。
井野口: ミトコンドリアという名前は、多くの方が理科の授業で聞いたことがあるのではないでしょうか。
私たちは、さまざまな活動をするためにエネルギーを使っていますが、そのエネルギーの大部分を生み出しているのがミトコンドリアです。
ミトコンドリアは、生きているほぼすべての細胞に存在していて、機能が低下すると臓器に障害が起きてしまうことがあるほど大切な働きをしています。
また、機能が低下することで活性酸素と呼ばれる悪い物質が出ることもわかっています。
だから正しく働くために、まるでミトコンドリア同士が手をつなぐようにネットワークを作っているのです。
井野口: 大正製薬の技術を駆使して研究を進めた結果、正常な肌の細胞の中ではミトコンドリアがネットワークを作っているのに対し、加齢などの要因によってマイトリガーゼが失われた肌の細胞では、ミトコンドリアがバラバラにちぎれ、さらに有害な活性酸素の産出量も増えていることがわかりました。
つまり、肌の細胞でマイトリガーゼが減ることが、ミトコンドリアの機能を劣化させ、肌老化の引き金になる。これが世界初の発見でした。
マイトリガーゼを増やし、ミトコンドリアや細胞が健やかに保てれば、ハリや透明感に満ちた若々しい肌が続くことが期待できるのです。
この事実はやがて、その先の研究「どうすればマイトリガーゼは増やせるのか?」というテーマへとつながっていきました。
※活性酸素だけでなく、他の肌老化の原因となる因子についても実験を行っています。
井野口: 私たちは長い年月をかけて、数えきれないほどの実験を重ねました。
研究とは、自らの発想で仮説を立て、それを実験で一つ一つ検証し、考察することで事実を求める作業。
見えないゴールに向かってブロックを積み上げるような根気強さも必要です。
時には仮説が根元から崩れたりすることもありました。しかしそんな時も、老化の根源を解明したいという目標を思い出し、粘り強く取り組みました。そしてついに、マイトリガーゼの肌での役割を世界で初めて解明することができたのです 。
たどりついた事実に満足するのではなく、更なる挑戦は続きます。
それは、「若返りの鍵となるマイトリガーゼを増やす」ことです。そのための研究が新たな発見を生み出します。
セルフメディケーション開発薬理研究室 井野口 友紀
入社以来、市販の医薬品や化粧品の開発に20年以上従事。肌用の薬はもちろんのこと、発毛剤から水虫薬まで、様々な薬理試験を通して有効成分の効果を評価。現在は肌の老化研究を中心に、効果的で安全な成分を日々追い求める肌研究のエキスパート。