Research

できることならば阻止したい肌の老化。戦うためには、まず敵を知ることが大切です。そこで、老化状態を示す皮膚モデルを用いて細胞老化の肌への影響を調べました。

老化皮膚モデルの作製

私たちがまず取り組んだのは、老化細胞を含む皮膚モデルの作製です。はじめに長期間にわたり細胞を培養して、周囲に炎症や老化を引き起こすSASP因子を盛んに放出してしまう「老化細胞」を作製しました。次に、この老化細胞を一部含ませて皮膚の層状構造を再構築した3次元培養皮膚を作製。この老化皮膚モデルを用いて、老化細胞による影響を調べました。

細胞老化が表皮老化を引き起こす

老化皮膚モデルを詳細に解析すると、正常な皮膚モデルと比べて、表面がでこぼことしていてシワのようになっていました。加齢により表皮は薄くなりますが、老化細胞を含む老化皮膚モデルも同じような状態を示したのです。

細胞老化がシミやシワを引き起こす

さらに研究を進めると、老化細胞が放出するSASP因子に、メラニン生成を刺激する因子やコラーゲンを分解する因子が含まれることが明らかに。つまり、老化細胞によってシミの素であるメラニンが作られ、シワに大きく関わるコラーゲンの減少が進んでしまうのです。

肌は年齢を重ねると、機能が低下し、厚みが薄くなり、シミやシワが目立つようになります。これまでの研究で明らかになったのは、老化細胞がそういった加齢による肌変化の原因となっていること。細胞レベルの老化が、肌全体の老化を引き起こしているのです。

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