若返りの鍵
「マイトリガーゼ」と
肌老化の関係を多角的に解明

~コラーゲン、老化マーカー、
肌細胞の動きへの影響~

マイトリガーゼの減少が肌老化を引き起こすイメージ図

大正製薬株式会社(以下、当社)は、かねてより研究してきたミトコンドリアに存在する酵素「マイトリガーゼ(Mitochondrial Ubiquitin Ligase)」と肌に関する研究において、マイトリガーゼの減少と肌老化の関係をより多角的に研究し、新たな知見を発見しました。本研究成果は2024年3月28日~31日に開催された日本薬学会第144年会にて発表いたしました。

研究背景

老化には、細胞の活動に必要なエネルギーを生み出すミトコンドリアの機能低下が関連しています。これまでに当社は、ミトコンドリアに存在するマイトリガーゼの減少が、ミトコンドリアの機能低下や肌老化を加速する可能性など、若返りの鍵「マイトリガーゼ」の役割を解明してきました※1。その中で課題としていた、実際の肌でのマイトリガーゼ量の評価、マイトリガーゼの減少がコラーゲン、老化マーカー、肌細胞の動きに与える影響についての研究を進め、新たな知見を見出しました。


研究成果

1.若返りの鍵「マイトリガーゼ」、女性の肌での減少を確認

若齢(30代)及び老齢(60代)の女性の肌から採取した組織を用いて検討を行いました。加齢した肌では、コラーゲン構造の乱れが認められやすく、さらにマイトリガーゼが減少することを確認しました(図1)。

図1 加齢によるマイトリガーゼの減少

2.「マイトリガーゼ」の減少による肌老化のメカニズムを深く追求

1.マイトリガーゼの減少が「コラーゲン減少」の原因の一つに
マイトリガーゼを減少させた肌の細胞を用いて、コラーゲンに及ぼす影響を調べました。その結果、マイトリガーゼが減少した細胞では、コラーゲンの遺伝子発現量が減少し、コラーゲンを分解する酵素の遺伝子発現量が増加することが確認され(図2)、マイトリガーゼの減少が肌のコラーゲンを減少させる可能性が示されました。

図2 マイトリガーゼの減少とコラーゲン合成・分解との関係

2.マイトリガーゼの減少が「老化マーカー増加」の原因の一つに
さらに、マイトリガーゼを減少させた肌の細胞を用いて、細胞自体の老化への影響を調べました。すると、マイトリガーゼが減少した細胞では、細胞老化の指標である老化マーカー(p16遺伝子)の発現量が増加し(図3)、マイトリガーゼの減少が細胞自身の老化を引き起こす可能性が示されました。

図3 マイトリガーゼの減少による老化の促進

3.新知見、マイトリガーゼの減少が「肌細胞の動きを鈍らせる」
マイトリガーゼが減少した肌細胞の動画を撮影し、細胞が移動する速度を解析したところ、マイトリガーゼの減少によって細胞の移動速度が低下することが明らかとなりました(図4)。ダメージによって肌が傷つくと、肌細胞が移動して傷を埋めますが、肌細胞の動きの低下は、傷修復の遅延に繋がります。以上のことから、加齢による傷の修復力低下は、マイトリガーゼの減少が一因となっている可能性が新たに示されました。

図4 マイトリガーゼの減少による細胞移動速度の低下

まとめ

実際の女性の肌で、加齢によってマイトリガーゼが減少することを確認しました。さらに、マイトリガーゼの減少は、コラーゲン減少、細胞の老化促進、修復力低下、といった肌を老化させる原因となることが示されました。これらの発見から、若返りの鍵であるマイトリガーゼの活性化により、肌老化を抑制できる可能性が期待されます。
当社は、健康で美しくあり続けたいと願う生活者の方々に向けて、これからも美しい肌に繋がる先端の美容研究を進め、その研究成果を皆様にお届けしてまいります。

用語説明

マイトリガーゼ
(Mitochondrial Ubiquitin Ligase)
柳茂教授(学習院大学)が2006年に発見したミトコンドリアに存在する酵素。
ミトコンドリアにおけるユビキチン化(タンパク質分解の目印)に関わることからMitochondrial Ubiquitin Ligaseと名付けられた。
MMP1遺伝子
マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MMP1)遺伝子。
細胞外マトリックス(コラーゲン、プロテオグリカン)の分解に関わっている。
p16遺伝子
細胞分裂を制御する遺伝子。老化細胞で特異的に発現増加する。
細胞移動
肌に傷ができた際には、傷に面した肌の細胞が移動して傷口を埋めることで修復が行われる。
研究発表トップ